『大人のひきこもり 本当は「外に出る理由」を探している人たち』を読んで

引きこもりについてメディアなどでも積極的に発言しているジャーナリストの池上正樹さんの本。10年前の本だけど内容は古くない。

タイトルに「大人の」とあるけれど、不登校をこじらせて引きこもっちゃった年齢だけ「大人」な人よりも、学校はちゃんと卒業したけど社会に出てから挫折した人に主眼を置いている感じ。事例として挙げられている人たちは、退職してから何百件もの求人に応募したり、居場所みたいなところには顔を出したり、著者に接触して窮状を訴えたりしていて、もちろん一人暮らしで生活費に困るという問題は抱えているのだろうけど、実家の自室にこもって社会との接点が一切ないタイプの引きこもりとは一線を画すような。それだけの行動力があるのなら、なんとかなりそうじゃない、と思えちゃう。

子どもの引きこもりをきっかけに母親も精神的に病んで外に出られなくなる話はすごく共感するし、引きこもりと発達障害の関係の話はおもしろかった。

でも、私が今知りたいのは、学校の時点で挫折した人はどうすればいいのか、なんだよな、と改めて気づく。不登校と引きこもりの狭間にいる人たち。前に読んだ「コンビニは通える引きこもりたち」でも、不登校から引きこもりになった人からの相談は少ないと書いてあった。だったらそういう人はどこで何をしているのだろう。