『「大人の引きこもり」見えない息子と暮らした母親たち』を読んで

途中、何度もアレ?と書名や目次、著者略歴を見直したのだった。だって「母親たち」の物語だと思っていたら、引きこもりの訪問支援団体の成功事例集みたいだったから。息子の引きこもりで苦労したけど、○○という支援団体に出会ったおかげで息子は就労して独り立ちし、親も幸せ!みたいなパターンにのっとって描かれる 8 つのストーリー。もう 3 つ目ぐらいになると、そろそろ支援者の登場かな、と展開を予想できてしまうような。中にはかなりつらい体験を語っている人もいるのに、どこか冷めた気持ちで読むことになったのは残念。

訪問支援団体についてはよく知らなかったので、こういうやり方をするんだ、とわかった点では勉強になった。登場する支援団体は 3 つ。いわゆる「引き出し屋」とは違いますよ、とあえて書いている。でも 1 つは裁判沙汰になってますよね。残り 2 つは数か月~ 1 年かけて説得して、連れ出すのに本人の意思を尊重しているよう。本人も後々「連れ出してくれてよかった」と言っていたりする。場合によっては選択肢の一つということでしょうか。